キャリコ玉サバ

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キャリコ玉サバ

 詳細不明

 キャリコ玉サバと言う呼び名は少なくとも2006年には存在していたが、キャリコ柄を纏った玉サバと言う段階ではなく、キャリコ琉金のフナ尾形態の域を超えるものではなかった。弥富の有名養魚場でも一時試みられたのは事実である。それ以前にハヤトもこのキャリコ玉サバと言う品種には着目していた。理由は色柄、体形、尾型、出目形態のバリエーションで既存の品種から抜けていたからだ。江戸地金、キャリコ土佐、京錦など既に作出者がおり、このキャリコ玉サバを完成させれば新品種作出者の一人に名を連ねるこが可能では?と薄っぺらい欲がうまれたのは確かである。これを実行に移さなかった理由はキャリコ玉サバを作る目的が新品種作出しか思い当たらなかったからだ。仮に観賞魚フェアに出展したところで愛好家の心に響くことはなかった筈である。新品種作出者は頭で構想した金魚を愛してなければ意味がない。その思いがなければ心を響かせる完成形は作れないとも考える。話が前後するが、弥富の有名養魚場が止めてしまったのは、その思いがないと自身で判断されたからではなかろうか。養魚場の生産者が本気になればある程度の形にするのは難しい話ではないからだ。

 画像の個体は2013年の観賞魚フェアに福島の小野さんが出展したものである。現段階でこの完成度は特筆するものと考える。貴重な品種であるが、このキャリコ玉サバの真価が問われるのは未だ早い。それを作出者自身が熟知しているところにこの品種の強さがある。そもそも2・3年で完成してしまうものに価値はないと愛好家なら誰しもが思うだろう。継続することは難しいが、ここまでこれたのだから5年、10年と続けてほしい。哲学をもって作られた金魚は美しい。今後が楽しみで仕方ない。

□ 金魚サーチ
□ 小野金魚園